日常生活での人間の歩行形態(平地歩行,走行,階段昇降,エレベータの利用, その他)を把握することは,医療分野,人間工学,都市計画など様々な分野での 応用が期待される. 本研究では,複数のセンサを利用したセンサシステムを利用することにより,無 拘束で歩行形態を推定する方法を提案する.
歩行時のエネルギー消費量は歩行速度に依存するが,歩数計やカロリーカ
ウンタでは歩行速度を推定することは困難である.
そこで本研究では,足の甲に取りつけたセンサシステム(加速度センサ,
ジャイロ)を利用して,歩行速度(歩行距離の時間変化)を高精度で推定す
る方法を提案する.
また,上記のセンサシステムに地磁気センサを加えることで,東西南北及
び上下方向の3次元歩行距離を無拘束で推定することが可能になると考え
られる.
試作したセンサシステム
今日使用されている歩数計やカロリーカウンタは,階段昇降時の運動量を
正確に推定することが困難である.
本研究で提案するICC(Intelligent Calorie Counter)は,加速度センサ及
び気圧センサを利用することによって歩行形態を詳細に判別することが可
能であり,従来の問題を解決するための重要なアイテムとなりうる.
ICC(Intelligent Calorie Counter)
心臓病患者の治療効果や不整脈の発生は,日常生活の運動量と心電図波形
との関係を利用することによって知ることができる.
このとき必要となる日常生活の運動量は,歩数計やカロリーカウンタでは
計測困難な階段昇降の情報も含まれる.
階段昇降判別が可能なICCを利用することにより,より詳細な運動量の推
定が可能となる.
Illustrated by J. Nakashima
痴呆老人に対する治療効果は,歩き方の特徴や行動場所などの違いとして 現れる.そこで,患者に負担とならない小型の歩行形態計測装置を利用し て患者の行動を調査し,治療効果の指標とすることができると考えられる.
歩行形態計測装置とPHS端末を組み合わせることにより,市街地で消費者 がいつ,どこにいたのかを知ることができる.これにより,消費者によっ て快適な都市計画のための基礎データを得ることができる.